本書は、1985年の初版以来、多くの投資家の間で読み継がれる古典で、運用哲学のバイブルと言われています。
内容は、インデックス投資の利点について説明していますが、多くの人が投資で失敗する理由、長期的に考える大切さ、暴落への対処方法など、投資についての重要なことを学ぶのに最適な一冊です。
敗者のゲームとは
運用は、「敗者のゲーム」になった
本書でいう、敗者のゲームとは、
「勝敗が、敗者のミスによって決まるゲーム」を指します。
例えば、プロのテニスでは、得点の80%は、強力なショットで、相手の手の届かない所に打ち込んだものです。
対してアマチュアのテニスでは、得点の80%は相手のミスによるものです。
プロのテニスは勝つために行ったプレーで結果が決まる「勝者のゲーム」であるのに対し、アマチュアのテニスは敗者がミスを重ねることによって決まる「敗者のゲーム」になります。
運用はもともとは、勝者のゲームでした。
ですが時代の変化もあり、市場の注文の95%が機関投資家が占めるようになり、さらに毎年、プロのファンドの6割が、市場平均を下回る成績しかあげられない現実があります。
その中で生き残っていくためには、ミラクルショットを決めようとするより、なるべくミスを少なくすることが重要になります。
インデックスファンドが最適
投資で、市場平均以上の成績を上げたいなら、他の人のミスを継続的に捉え、敏速に対応することが求められます。
ですが、ほとんどのプロのファンドでもできないことです。
個人ができる、より簡単に投資で勝つ方法は、インデックスファンドを活用することです。
長期的に考えると、インデックスファンドなら、確実に市場の平均的なリターンを狙うことができます。
運用方針を守れるか
誰でも上がっているときは、
「今こそ買うべし」
下がっているときは
「すべて投げ売りすべきだ」
というムードになります。
パニック的な状況で冷静を保つのは容易ではありません。
ちょっとしたテストが紹介されています。
質問:あなたが投資するなら、どちらか?
回答A:大幅に値上がりし、何年間も高値圏にある株式
回答B:大幅に値下がりし、何年間も低位にとどまっている株式
普通の感覚だとAを買いたくならないでしょか?
ほとんどのプロのファンドもAを買います。
ですが、意外なことに、長期的に正しい回答はBになります。
株を買うということは、配当を受け取る権利を買うことになります。
買う株の価格が低ければ低いほど、株数を多く買え、受け取れる配当金額も多くなります。
だとすれば、値下がりした市場にこそ可能性が潜みます。
普通は、相場の値上がりを望み、すでに十分に値上がりしてしまった株式を熱心に買い増していく傾向があります。
投資で成功するには、群集心理に巻き込まれて、株価が上がった時に飛びついて買い、下がった時に慌てて売るといった誘惑に打ち勝てるように、自分自身を訓練していくことが大切になります。
おわりに
私も、本書の内容を参考にして、インデックスファンドでの運用を続けています。
本書でいうように大事なことは、
・事前に決めた投資方針を守る
・長期的に続けられるか
ということで、これができれば、値動きに翻弄されて、焦って失敗することはないと思います。
ぜひ本書の内容を参考にしてみてください。