今回は、前回に引き続き、
投資信託選びのポイントとして、購入時期の分散や資産配分の考え方について、まとめます。
購入時期の分散
投資をするときに、一番怖いことは、
「買ったあとに、価格が暴落するのでは?」
という心配だと思います。
たとえば、
市場のピークだった2000年代初めに、株式に全財産をつぎ込んでいた場合、その後10年間は、ずっとマイナス状態です。
それを避ける方法として、投資するときに、一度に全額買わずに、時間をかけてコツコツと定期的に購入することで、リスクを抑えることができます。
毎月、一定額を定期的に投資していくと、確実に価格の安い好条件のときに、仕込みをすることができます。
このことを、「ドルコスト平均法」といいます。
「ドルコスト平均法」の注意点は、最終的に倒産するようなものを集めていても効果はないということです。
その点、インデックスファンドなら、多くの優良企業で構成されているので、価値がゼロになることはありません。
株や債券に投資する場合は、毎年、配当や金利を受け取れるので、長期的には、右肩上がりを期待できます。
「ドルコスト平均法」を使うことは、とても合理的といえます。
資産配分はどうすればいい?
インデックスファンドには、いろいろな種類があります。
・株式だけに投資するもの(ハイリスク・ハイリターン)
・債券だけに投資するもの(ローリスク・ローリターン)
・株、債券、その他、バランスよく組み込んだもの
主なものはこの3つになります。
では
「どの資産をどれだけ購入すればいいの?」
ということになります。
そもそも株式と債券って?
「株式」とは、
会社が発行している、「権利書」になります。
株式を買うということは、会社に無担保でお金を貸している状態です。
株主になれば、定期的に配当金や優待を受け取ることができます。
「債券」とは、
一言でいうと「借用書」のことになります。
会社が発行していれば「社債」、国が発行していれば「国債」になります。
あらかじめ設定された期間まで持つことで、約束された金利を受け取ることができます。
発行元が存続している限り、受け取れるので、株式より安全性が高いと言えます。
債券の役割
債券の役割としては、株式より、ボラティリティ(変動率)低いことです。
たとえば、
リーマンショック時(2008年)
株式型の投資信託(S&P500)は、40%下落しています。
債券型の投資信託(AGG)は、10%の下落です。
債券は、暴落時のクッションのような役割があり、ポートフォリオに組み入れることで、リスクを減らすことができます。
攻めるときは、株式を多めに
守るときは、債券を多めに
というのが基本的な考え方です。
株式と債券を、どのくらいの比率で組み入れるのがベストかは、投資期間や性格にもよって変わってきて、投資家同士でも意見の分かれるところであり、永遠のテーマにもなっています。
株式100%でもOK
歴史から見ると、長期では、株式のリターンが上です。
「【要約】株式投資の未来」も参考にしてください。
ですので、長期運用なら、株式100%で問題ないと思っています。
より安定運用を目指したい場合は、株式と債券を両方購入します。
たとえば、
株式60%債券40%
のポートフォリオを作って、株が下落した局面では、債券の割合が高まるので、そのタイミングで株の比率を上げることで、ポートフォリオの割合を調整をします。
こうすることで、暴落など起こっても、対応が可能です。
投資信託のリスク
投資信託には、「価格変動リスク」がありますし、外貨建てのものには「為替リスク」もあります。
どのファンドにも、元本割れリスクがあります。
ただ、過去のデータを参考にすると、大暴落直前の、1929年の最高値で、株式購入した場合でも、15年待てば、資金を回収できています。(配当を再投資した場合)
積立投資なら、さらにリスクを小さくできて、同じく15年以上の投資期間なら、どの期間で見ても、プラスのリターンを期待できます。
長期で見れば右肩上がりなのは、株式という資産の強みだといえます。
もちろん、今後もこの傾向が続くとは言い切れませんが、銀行においておくだけだと、インフレでお金の価値はどんどん目減りしていくことが考えられます。
インデックスファンドへの投資は、インフレに対抗する手段としてもとても適しています。
おわりに
つみたてNISA、iDeCoの普及によって、投資信託を始めやすい環境が整ってきています。
非課税で運用できる制度を使えば、さらに投資が有利になりますので、ぜひ検討してみてください。
Q&A
●期待できる利回りは?
株式型は、一番変動が大きく、
40%上がる年もあれば、30%下がる年もあるイメージです。
平均すると、年5〜7%という感じで考えています。
●今は株高な感じがして始めにくい。下がるまで待つべき?
過去のデータでは、株価の頂点から買い始めたとしても、早く始めた方が、結果的に資産は早く貯まります。
リスクを下げたい場合は、債券を多めのポートフォリオにしたり、下がった時に積み立て金額を増やせるようにして、始めていくとよいと思います。
●上がっているときに、利確した方がいいの?
上がったタイミングで、利確
下がったタイミングで、再購入できれば、
資金はさらに増えます。
ただ、今後の価格は誰にも予測できないので、値段の上がり下がりは気にせずに、長期目線で積立てを続けていった方が得策と考えています。
●為替ヘッジは必要?
米ドル建の投資信託を買う時は、為替リスクも心配になってきます。
ただ、円よりドルの方が金利も高いし、ドル建資産をもつメリットもあります。
長期投資なら、為替リスクのヘッジは、コストに見合わないと考えています。
●資産はどのように取り崩していけばいいの?
老後の資金の場合は、
貯まったあとは、4%ずつ取り崩す方法を勧めています。
なぜ4%なのかというと、
株式も債権も、平均すれば4%以上の
リターンをもたらす可能性が高いからです。
長期平均で見ると株式は年平均約7%、
債権は約4%のリターンが期待でき、
50:50でミックスしたポートフォリオからは、
年平均5.5%のリターンが期待できます。
さらにインフレや株式市場が低迷する局面も想定して、
控えめに設定した数字です。